かゆみを抑えるキチンでケア

かゆみを抑えるキチン

水産物として捕獲されるカニ類などの甲殻類の殻から得られるキチンは、創傷治癒の促進効果があるがほとんど産業利用されていないのが現状でした。

 

 

 

ところが、鳥取大学の農学部と工学部がこのキチンの原料となっているカニの廃殻が大量に発生しており、それを地域資源として活用したいということで研究が始まりました。

キチンは、ほとんどの溶媒に不溶のためキトサン、グルコサミンなどへ加工されて利用され、健康食品や農業分野、工業分野では利用されています。

市販のキチン粉末は、ほとんどの溶媒にも溶けないため成形・加工が困難でした。キチンには、創傷治癒の促進効果があるのです。

この研究チームは、キチンを幅が10ナノの極細繊維に加工することが出来ました。それがキチンナノファイバーです。

この加工によって、皮膚に塗布する化粧品に応用できる道が広がったのです。

化粧品での応用範囲としては、「コラーゲンの増加」「表皮層の膨化」「バリア機能」「保湿効果」が期待できます。

キチンナノファイバーの塗布が表皮高さに及ぼす影響の実験では、蒸留水塗布とキチンナノファイバーの4時間後比較でも、明確に表皮高さが上昇している映像が撮れています。

すなわち、表皮細胞が膨化するということは、表皮での水分保持がしやすくなっている、と言えるのです。

また、キチンナノファイバーを添加した水とそうでない水での細胞組織のスコア判定でもあきらかにスコアが良い結果が出ています。

さらに、経過時間ごとの測定でも保持力の減退が水ほど早くなく、しっかりキープできているという成果が見られています。

鳥取大学が行ったヒトでの保湿効果では、ワセリンとキチンナノファイバー含有ワセリンとの比較でも時間経過の保湿効果の減退が、キチンナノファイバー含有ワセリンの方が減退率が少なく、保湿効果がワセリンよりも高いことが認められています。

キチンナノファイバーが、敏感肌やアトピー肌に悩んでいる方への明るい道を切り拓く可能性が大きくなっています。